**みやび通信第8号(通刊第44号) 2003 (平成15) 年5月25日 発行:KAZU**
第 8 号
カラカ
KARAKA TREE
ニュージーランドのネイティヴな樹木としては日本ではそれほど名が知られているわけではありませんが、ニュージーランド国内では大概の人が知っている木のひとつです。マオリの歌にも登場し、息子がChild Care Centre (保育所) で覚えたきた歌で知りました。マオリはその実を儀式に使ったそうです。
どんな木か?
Karaka Tree はニュージーランド原産の常緑の高木です。学名は Corynocarpus laevigatus といいます。高さは15メートル以上になり、葉は15〜20センチの細長い肉厚のツヤのあるものです。低地、特に海岸近くに自生するそうですが、残念ながら自生のものを見つけることはできませんでした。たまたま、住んでいたFlat (アパート) の駐車場の入口にこの木がありました。春に花が咲いて、やがて緑色の実がなり、夏にかけて大きくなり、オレンジ色に熟します。長さが30ミリくらいの細長い実で、熟すると結構ジューシーでボロボロと道に落ち、駐車場の入口なので車が踏みつけて落果が終わるまで道が汚れて大変でした。
TOXIN (毒素)
この木を有名にしているのは、果実に毒があることです。Karakin と呼ばれるとtoxin (毒) は3-nitropropanoic acid (3-ニトロプロパン酸) のブドウ糖エステルを含み、呼吸作用を阻害 (ATP アデノシン三燐酸の生成を阻害) します。毒性は若い実ほど強く、熟すると弱くなります。とはいえ、落ちている実は絶対に口にしないように、家畜やペットが食べないように注意しないといけません。
虫たちのすみか
実は毒がありますが、木には結構いろいろな虫が集まります。
よく見つかるのが hopper (ハゴロモ、Australian passionvine hopper?) で、新芽や若い葉の裏に幼虫から親までたくさん見られます。
ニュージーランドで最も普通のカメムシ (Garden vegetable bug) も見つかります。
ハゴロモもカメムシも樹液を吸っているので木自体には毒はないのでしょう。
Garden snail (カタツムリ) もときどきいました。(写真はサザンカの葉の上のカタツムリ)