**みやび通信第12号(通刊第48号) 2003 (平成15) 年10月1日 発行:KAZU**

第 12 号
お金のはなし
Money of New Zealand

 何処の国へ出かけても最初にしなければならない事の一つに、お金の換金があります。今回はニュージーランドのお金について。
 ちょうどこの原稿を書き始めていたところへ、ニュージーランド政府観光局の季刊紙「テパパ通信」(2003年秋)が届きました。何とトピックスに「NZお金物語」。ちょっと話がダブルところがありますが、機会がありましたら、こちらの方もご覧ください。
 手元に全ての紙幣、硬貨がありますが、お金のことですので写真は控えさせていただきます。実にカラフルで美しいものです。こちらのサイトには全紙幣と硬貨の写真が掲載されていますので、興味のある方はのぞいてみてください。

紙  幣




 ニュージーランドの通過は言うまでもなく、ニュージーランドドル。紙幣の方は100ドル、50ドル、20ドル、10ドル、5ドルの5種類。1999年からポリプロピレンを使用したポリマー紙幣が採用されています。長持ちな上に偽造が難しいそうです。デザインの方はそのままで、それぞれが異なった色調で一目で何ドル紙幣かわかります。流通の中心は、日本ではいつまでたっても流通してこない2000円札とは違い、ニュージーランドでは20ドル紙幣です。キャッシュディスペンサーも全てではないのですが、カードで50ドル出金しようとしても、「20ドルの倍数で入力してください」などと表示して、20ドル紙幣しか出ない機械がかなり多いです。初めてだと何のことやらわからず、慌ててしまいますが、落ち着いて40とか60と入力し直してください。
 50ドル紙幣や100ドル紙幣は普段はまず見ない紙幣です。100ドル紙幣は日本で言うなら1万円札みたいなものですが、私も銀行でトラベラーズチェックを換金して預金した時に見ただけで使ったことのない紙幣です。日本円に換算して物価が安いように思われがちですが、実はニュージーランドの給与水準が結構低いので、物価は大変高い国です。そして100ドル紙幣は普段持ち歩く額ではないのです。

硬  貨

 硬貨は金色の合金の1ドルと2ドル、白銅の50セント、20セント、10セント、5セントの6種類です。一般にスーパーなどでは価格が1セント単位で付いていますが、レジで5セント以下は端数処理され5セント単位で支払います。50セントと20セントのコインは大きくて重いです。50セントなどは500円玉くらいの大きさと重さ、たくさん入れていると財布がパンパンになってしまいます。
 日本人は自国の貨幣は自国で造るのが当然のように考えがちですが、世界的には必ずしもそうではありません。ニュージーランドも貨幣は国外での製造で、紙幣はオーストラリアで、硬貨は南アフリカで製造されています。さらに国旗にユニオンジャックを掲げるイギリス連邦の他の国と同じく、硬貨の表面にはエレザベス女王の肖像があり、時折オーストラリアやタヒチの10セント硬貨がお釣りに紛れ込んでいます。そして誰も気にすることなく、受け取りまた使っているあたりがスゴイです。
 1セント、2セント硬貨が廃止されてから随分経つそうですが、5セントコインの廃止論も随分前から噂になっています。どうもそちらの方はまだまだのようです。
 ニュージーランドは自動販売機めったにありません。治安の悪さやセキュリティの問題もあるからでしょう。硬貨の大きさも種類によって極端に違い、他の国の硬貨が混じるような状態では難しそうです。パーキングメーターや無人駐車場では硬貨が使えますが、コインが一種類に限定されています。以前留めたパーキングメーターは料金1ドルでしたが、50セント硬貨のみしか使えませんでした。

5ドル紙幣の肖像画



 さて、お金の話の最後に、まずこの写真を見てください。誰だかわかりますか。  エリザベス女王を除いて、存命の内から紙幣に肖像が印刷されるというのは異例中の異例。日本ではまず考えられないことですが、ニュージーランドの「ヒラリー卿」はその一人です。それだけにニュージーランド人にとって大変な英雄でもあります。半世紀を経てその熱が冷めてきたとは言え、知らない人はいないくらい有名な人です。  Sir Edmond Hillaryは1919年オークランド生まれの登山家で、1953年に人類初のエベレスト最高峰登頂に成功、ナイトの称号を受け、イギリスの南極探検隊にも参加、後にエベレスト遠征隊の隊長も務めました。1966年にはネパールにシェルパのための病院施設を建てたりとシェルパ達のためにも尽くしました。  スポーツ選手でも文化人でもいいですから、日本にもこのような全国民から讃えられ尊敬される英雄が誕生してほしいものです。