**みやび通信第22号(通刊第58号) 2004 (平成16) 年8月8日 発行:KAZU**

第 22 号

大 阪 城


 昔から城郭建築を眺めるのが好きで、近畿一円の有名な城の写真を撮って歩いた時期がありました。歴史的な背景は全く無視して、ただ城を見に行くというだけでしたが。城といっても天守閣があるとは限りません。様々な理由で天守閣を失った城、天守台はつくられたものの天守閣は建造されなかった城、もともと天守閣のなかった城、櫓だけの城等々。現在に至ってはただ「ここに城があった」という立て札だけのところもあります。
 こういった城を見始めたきっかけは、はやり大阪人にとっては大阪城ということになります。大阪城天守閣は鉄筋コンクリート製、大阪のシンボルのひとつではありますが、お隣兵庫県の国宝姫路城や滋賀県の国宝彦根城の天守閣と比べるとやはり見劣りがします。
 しかし、城の魅力は天守閣だけではありません。城門、櫓、石垣などの見どころがあるわけです。大阪城は豊臣秀吉に手による築城とされていますが、徳川氏によって一旦城は破壊され徳川の手によって作り直されたものです。詳しくは知りませんが、現在残っている部分は全て徳川氏の建造したもののみということです。
 大阪観光の名所として大阪城は賑わっていますが、メインは天守閣です。しかし、この鉄筋コンクリート製天守を見るよりももっと魅力的な見どころがあることをせっかく大阪観光に来た人たちにも知ってほしいという思いがあります。
 今回は玉造口(最寄り駅/JR森ノ宮駅・地下鉄森ノ宮駅)から大阪城の城郭建築を見ながら青屋門(最寄り駅/JR大阪城公園駅・京橋駅・地下鉄京橋駅)へ抜ける大阪城一周コースをご紹介します。



1. 一番櫓/南堀にあったと言われる7つの櫓の一つ。玉造口の手前、外堀をはさんで眺めてください。
2. 玉造口跡/石組みが残るのみとなっていますが、枡形も少し残っています。
3. 桜門/内空堀を渡り本丸へと続く門です。ここの枡形の巨石(蛸石)は大阪城最大の石です。
4. 旧大阪市立博物館/戦時中は軍施設が置かれたそうです。学生時代はよく足を運んだ博物館です。
5. 金蔵(きんぞう)/天守閣横のトイレのそばにあり、殆ど注目されません。が一見の価値あり。
6. 金明水/天守閣の有料ゲートをくぐり登ったところにある井戸。これが掘られたのは江戸期とか。
7. 号砲/正午を知らせるために使われていたそうです。
8. 天守閣/徳川幕府による天守は焼失、昭和6年に再建されましたが、軍施設があったため爆撃を受けました。奇跡的に焼け残り、平成の大改修で今の姿に。鉄筋コンクリート製で5階までエレベーターがあり、さらに9階が展望階。
9. 太鼓櫓跡/南仕切門と呼ばれる門がありその上にあったとされる。石組みを残すのみ。
10. 大手門/西外堀から二の丸へ続く門で、多聞櫓と一体化しています。
11. 六番櫓/大手門を抜けて南外堀へ少し歩くと見えてきます。かつて櫓のあった石垣が遠く重なって美しい。
12. 多聞櫓/六番櫓を見て再び北へ戻る。大手門を形成する巨大な櫓。全体の姿は外堀の外から眺めると美しい。
13. 千貫櫓/西外堀の外側から眺めてください。
14. 乾櫓/西外堀を北へ進むと見えてきます。大阪城で最も古い建造物。
15. 京橋口跡/見落としがちですが、ここの枡形の石も巨大です。
16. 焔硝蔵/江戸時代の火薬庫
17. 極楽橋/桜門以外で本丸へ渡れる唯一の橋。明治に焼け落ち、昭和40年復元されました。
18. 青屋門/大阪城の非常口。艮(うしとら、丑寅)の方角つまり鬼門で普段は閉じられていたとか。

 以上、簡単にご紹介しました。このコースは約5km(玉造駅から京橋駅まで)で、天守閣の展示を見る時間を入れずに約2時間です。有料施設は西の丸庭園(200円)と天守閣(600円)です。各櫓や金蔵、焔硝蔵は普段公開されていません。城郭建築に興味のある方は小まめにチェックしていると機会があります。一番櫓は前回の改修時に公開されました(無料)。また乾櫓の公開時は西の丸庭園の入場料金だけで入れたと記憶しています。今回訪れた時はイベント開催中で六番櫓、金蔵、多聞櫓、千貫櫓が有料公開されていました。また二月の梅、四月の桜の頃は大変賑わいます。
 大阪観光の折には是非一度お訪ねください。大阪人は大阪再発見の機会に、歩いてみられては。