**みやび通信第34号(通刊第70号) 2006 (平成18) 年12月18日 発行:KAZU**

第 34 号

ニュージーランド無線ばなし



お願い

 この記事は今から6年前、2000年にアマチュア無線の雑誌に投稿するために書いたもので、当時の情報を元に書いてあります。現在のニュージーランド、日本国内の制度・状況とは必ずしも一致しません。実際にアクションを起こされる方は再度リサーチされますようお願いいたします。



 日本のアマチュア無線従事者が海外へ出て、他の国でアマチュア局を開設・運用する場合、日本と相互協定を結んでいる国では、所定の手続きを踏めば、日本の資格に対応したその国の資格で開局・運営できます。ところが日本と相互協定を結んでいない国では、その対応がそれぞれ異なるようです。私は協定を結んでいない国、ニュージーランドで2年足らず過ごし、ここでアマチュア局の開設・運用を試みました。それについて少しお話してみようと思います。

 日本出発にあたり、領事館に質問状を送り、前もって情報を得ようとしたのですが、専門的な事項は本国へ直接問い合わせるしかない様で、とりあえず無線従事者免許と無線局免許状の英文による内容証明を電気通信管理局へ申請し、これと従事者免許の原本、430MHzのハンディ機を2台持って渡航しました。日本国内からではどこへ問い合わせたらいいのかわからにものでも現地へ行けば電話帳で簡単に調べられました。ちなみにニュージーランドの電話帳は住所欄に地区番地が最後まで記載されていて、名前がわかれば電話番号と住所までもわかります。拙い英語で手紙を書いたところ丁寧な返事が届きました。

 日本と異なり通商省が無線・電波の管理を行っていますが、ここが発行している冊子「Amateur Radio Serviece」によりますと、ニュージーランドのアマチュア無線免許は運用できるバンドによって3つのグレードがあります。

・Genral (全アマチュアバンド)
・Limited (30MHz以上のバンド)
・Novice (3.525〜3.625MHz, 21.10〜21.20MHz, 28.10〜28.60MHz, 144〜148MHz)

 試験は電気理論・無線工学が50%、法規50%、GeneralとNoviceにはモールス信号の送・受信の試験が各3分あり、Generalでは分速12 words、Noviceで分速 6 wordsが合格基準となっています。コールサインは現在、プレフィックスは南北本島でZL1〜ZL4、周辺地域にZL5〜ZL9が割り当てられ、サフィックスは従事者免許のグレードによって割り当てが異なっています。また、外国籍のコールサインでは後ろにZLを付けることになっています。

 外国人に対する免許については、同じ英国連邦の隣国オーストラリアでは日本と相互協定を結んでいるので手続きのみで運用ができるのですが、ニュージーランドはアメリカ合衆国とEC諸国との間に相互協定が結ばれていて、その他マレーシア、オーストラリア、カナダ、ボツワナ、インド、パプアニューギニア、ジンバブエ、トンガ等の国の免許がニュージーランド国内で認められています。

 さて、それでは私達日本人はどうすればいいのかということですが、旅行等でニュージーランドを訪れて4週間以内の滞在の場合は144MHz以上のバンドで新生も登録料も必要なく運用することができます。ただし当局からの要求のあった時は従事者免許と局免許状を提示しなければなりません。長期滞在の場合や144MHzより下のバンドで運用しようとする場合は二つの選択肢があります。ひとつはニュージーランドのライセンスを取得することです。これは単純明解、ニュージーランド人と同様に英語で書かれた試験問題に臨むことになります。もうひとつは当局に無線従事者免許、できれば原本と英語による内容証明、日本での国家試験の問題、こちらもできれば英訳したものを提出して審査を受ける方法です。これは申請者の免許がニュージーランドのものと同等かを審査するもので、審査に通れば日本の免許が認められます。

 私は英語での試験を受ける程、語学に自信もなく、二番目の方法を模索したのですが、ニュージーランドから自分の受けた国家試験の問題を入手し、英文に翻訳する作業は困難なことで、結局初心を果たすことができずに帰国しました。

 さて、波は出せなかったものの、しっかりwatchしてきました。ニュージーランドの人口は (当時) 360万人。その三分の一が集中するオークランド周辺でも、430MHz FMのチャンネルはガラガラ。逆に傍受するのが困難な程。空きチャンネルを捜すのに苦労する日本とは大違い、うらやましい限りです。次回の渡航時には準備万端整えニュージーランドでの運用を可能にしたいと思っています。